コラムColumn

暑さも少しずつ和らぎ、秋の訪れを感じる今日この頃ですね。
さて、今回は胆嚢ポリープと同様に、健診の腹部エコーで要精密検査となることが多い胆嚢腺筋腫症についてお話したいと思います。
胆嚢腺筋腫症とは
一般の方にとっては、なかなか耳慣れない病名ではないかと思います。
胆嚢腺筋腫症というのは、胆嚢の筋層が部分的もしくは全体に肥厚し、粘膜上皮が筋層内に入り込むこみ、RAS(ロキタンスキ-・アショフ洞)と呼ばれるくぼみができる良性の病変です。
発生原因は明確には分かっていませんが、長年にわたる胆汁うっ滞や胆嚢の過剰な収縮刺激が関係していると考えられています。
症状と検査
多くの場合は無症状で、健診の腹部エコー検査などで偶然見つかることがほとんどです。
しかし、全周の壁肥厚により胆石ができたり、胆嚢炎を伴ったりすると、周期的に右上腹部痛、腹部膨満感などの症状が現れることがあります。
検査としては、以下のようなものがあります。
腹部エコー検査
最も一般的で有用な検査です。胆嚢壁の肥厚、内部の小嚢胞、コメットテールアーチファクトが特徴的です。
部位によって、以下のように分類されます。
・限局型(fundal type)
・節状型(segmental type)
・びまん型(diffuse type)
発症の頻度は、限局型>節状型>びまん型の順に多いとされています。
MRI(MRCP)検査
MRIではRASが真珠の首飾り様に見えることがあり、診断の決め手となります。
腹部CT検査
胆嚢壁外への浸潤所見の有無などを確認して、胆嚢がんとの鑑別を行います。
治療
胆嚢腺筋腫症は良性病変であり、基本的には治療は必要ありません。
ただし、腹部症状を繰り返したり、不整な壁肥厚や腫瘤形成を伴う場合には、胆嚢がんとの鑑別のため、手術が必要となることもあります。
まとめ
胆嚢腺筋腫症自体は、治療を必要とするものではありません。
健診で要精密検査となる理由としては、腹部エコー検査だけでは、胆嚢がんの可能性を否定できない場合があるためです。