肛門外科

痛くてつらいおしりのお悩みを解消します。痔は成人の3人に1人が痔もちと言われているほど、よくある疾患です。女性も受診しやすいようにいろいろと配慮しておりますので、気軽にご相談ください。

肛門外科

肛門外科について肛門まわりの病気を総称して「痔」と呼んでいます。

痔の3大疾患が「痔核(じかく)」「裂孔(れっこう)」「痔瘻(じろう)」です。

症状としては出血、痛み、肛門の痒み、残便感などがあります。治療には薬物療法や手術療法があり、正確な診断をした上で、十分ご説明の上、最も適切な方法を選択してまいります。

肛門外科は、はっきりした自覚症状があっても場所が場所なだけに、特に女性は受診をためらってなかなか相談に来られず、ひとりで悩んでいる方も少なくないと思います。実は、女性は妊娠・出産やホルモンの影響で便秘にもなりやすいため、おしりのトラブルになりやすいのです。

また、大腸がん、直腸がん、肛門がんなど、重篤な病気が隠れていることもありますので、恥ずかしがらず、お気軽にご相談ください。

手術件数

   
  平成26年10月~
平成27年3月
平成27年4月~
平成28年3月
平成28年4月~
平成29年3月
平成29年4月~
平成30年3月
手術件数 50例 159例 199例 229例

よくみられる肛門の病気について

痔核 [いぼ痔]

痔のなかで最も多いのが痔核、いわゆるいぼ痔です。肛門付近の血流が悪くなり、うっ血し、さらに静脈がこぶ状に拡張したものが痔核です。発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。

内痔核について

肛門の内側(歯内線の内側)にできるのが内痔核です。内痔核は、ほとんど痛みを感じること無く進行します。 進行して痔核が大きくなると、脱出(脱肛)するようになります。脱出も初めのうちは指で押し込めば戻りますが、さらに進行すると戻らなくなり、痛みをともなうようになります。

内痔核は以下の4段階の症状に分けられます。

内痔核は以下の4段階の症状に分けられます

Ⅰ度:肛門鏡で観察すると腫脹しているのがわかるが、
Ⅰ度:排便時でも脱出しない程度の痔核
Ⅱ度:排便時に肛門外に脱出するが、排便が終わると自然にもどる程度の痔核
Ⅲ度:排便時に脱出し、指で押し込まないともどらない痔核
Ⅳ度:常に肛門外に脱出していて、指などで押し込んでも戻らない状態

内痔核の治療について
軽度の場合は、軟膏や座薬などの薬物療法で保存的に治療を行い、排便の方法や生活習慣などアドバイスを行います。Ⅲ度以上の症状や日常生活に支障があったり、出血による貧血がひどい場合は、相談の上、手術をお勧めいたします。また、保存的療法と手術療法の中間に硬化療法やゴム輪結紮(けっさつ)法があります。

硬化療法
パオスクレー(フェノールアーモンドオイル)というものを痔核に注射し、静脈叢を硬くする療法で、出血を止める効果があります。もう一つには新しい硬化療法、ジオン注射硬化療法(ALTA)があります。

ジオン注射(ALTA)治療とは?

これは、痔核(いぼ痔)、特に肛門の奥に出来る内痔核の治療として、最近注目されている硬化療法の一つです。痔の部分に硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸など特殊な注射液を4段階に分けて注射することで、痔核が萎縮して硬くなり、外に飛び出さなくなります。持続性があるため、手術治療でしか治せなかった進行した内痔核(Ⅲ度)でも、治療効果が期待できる治療法です。当院では、内痔核の治療は主にこのジオン注射硬化療法を行っており、切らずに注射でいぼ痔を治します。局所麻酔で行い、日帰り治療が可能です。

ゴム輪結紮法
イボ痔を鉗子でつかみ、その根部を専用の輪ゴムでしばって壊死・脱落させる方法です。高齢者の方やリスクの高い方、寝たきりの患者様にも使用可能です。

手術療法
・結紮切除術
脱出したイボ痔をはさみで切っていく方法です。

・PPH(procedure for prolapse and hemorrhoid)法
直腸の粘膜を機械でリング状に切除・縫合する方法です。PPH法は奥からの血流を遮断し、脱出する痔核をつり上げる効果があります。

外痔核について
外痔核につい肛門の外側(歯内線の外側)にできるのが外痔核です。激しい運動をしたり、急に重いものを持ったりした後などに突然血の塊が肛門に出来、腫れて痛みをともないます。悪化すると皮膚が破れて出血する場合もあります。


多くが便秘や下痢、アルコールの飲み過ぎ、長時間の同じ姿勢、激しい運動などきっかけを伴って起こります。ほとんどの場合、薬で改善する事が多いですが、痛みや腫れがひどい場合は、手術を行う場合があります。

裂肛 [急性・慢性]

便秘や下痢に伴い歯状線より下にある肛門上皮が切れる状態のことで、きれ痔やさけ痔と呼ばれたりします。痛みや出血をともない、急性裂肛と慢性裂肛があります。

急性裂肛
傷は浅く、排便時に痛みや出血をともないます。ほとんどが数日で回復します。

慢性裂肛
裂肛を繰り返すと傷が深くなり、潰瘍になります。痛みも持続し、傷の内側に肛門ポリープ、外側にいぼを形成することもあります。


痔瘻 [痔ろう・あな痔]

痔瘻 [痔ろう・あな痔]直腸肛門周囲膿瘍(下痢などにより細菌が肛門に侵入し、直腸肛門部とその周辺の皮下、粘膜下、筋間などに膿がたまる病気)が自潰したり切開排膿されたりして膿が出た後に膿のトンネルができたものが痔瘻です。男性に多くみられます。

痔瘻には皮下痔瘻(1型)、筋間痔瘻(2型)、坐骨直腸窩痔瘻(3型)、骨盤直腸窩痔瘻(4型)のタイプがあり、それぞれがより細分化されています。

痔瘻の治療は、経過が長いと癌になることがあるため、手術が基本となります。尚、入院での加療が必要と判断した場合は、適切な病院を紹介いたします。


肛門ポリープ

肛門ポリープ肛門縁から1~2㎝くらい中へ入ったところに、直腸と肛門の境があります。ここを歯状線と言います。

この部分は、ふつうの皮膚よりもややつやがあり、白っぽく見えて、全周に細長い凹凸(肛門乳頭)が並んでいます。さらにこの歯状線より奥は、ピンク色をした直腸粘膜へと続いています。

肛門ポリープとは、この歯状線付近の移行上皮から出来ている肛門乳頭に発生する炎症性・線維性の肥厚、または硬いしこりのことです。

原因としては下痢・便秘の繰り返し、裂肛、痔核、痔瘻など歯状線付近の慢性的な刺激や炎症だと考えられています。
ポリープは小さいものでは粟粒大から親指大まであり、団子状、きのこ状などのほかに、ひもが付いたように長く伸びてくるものもあります(有茎性ポリープ)。

ひどくなると、排便のたびにポリープが先頭になって脱出し、ポタポタ出血したり、痔も一緒に脱出したりすることもあります。一般に排便後は、手で元に押し込めてやれば、一日無症状で過ごせます。ポリープが大きいと、いつも便をしたいような感じが起こります。また、ポリープが出たり、これを手で押し込めたりしていると、肛門がかぶれて痒くなります。

若い女性が裂肛を長く繰り返していると、裂肛の奥にポリープが出来、これが刺激となって裂肛が治らないために、さらにポリープが大きくなってしまうという悪循環がよく見られます。このような場合には早めにポリープを切除するか、しばってしまうかすると、裂肛は急速に治ってきます。

肛門ポリープの治療
これら肛門ポリープは大腸ポリープと異なり、がん化することはありません。一般に肛門ポリープの治療は外科的に行いますが、ポリープ単独の場合は、外科処置で簡単に切除できます。深い裂肛、痔核、痔瘻などの合併症がある場合は、根治手術が必要です。

肛門皮垂

肛門の周囲に出来た皮膚のたるみのことです。
多くが外痔核や裂孔などで一時的に肛門部が腫れ、その後、腫れが萎縮した後に、しわとなって残ったものです。
なかでも肛門前方に出来るものは女性に特有で、出産後や裂肛が長期間存在した時に出来ます。
痔は皮膚の清潔を保ち、便通をコントロールするなど、保存的治療を行うことにより多くは症状が改善しますが、いったん形成された皮垂は切除する以外、消えることはありません。

肛門皮垂(スキンタグ)の治療
肛門皮垂は、放置しておいても構いませんが、スキンタグのために肛門周囲に皮膚炎を起こし、痒みや痛みを生じる方がおられます。また、美容的に気にする方も多く、これらの場合は手術を行います。日帰り手術が可能で、手術翌日、必ずしも仕事を休む必要はありません。

肛門周囲皮膚炎

肛門周りの皮膚が炎症を起こしたために、かゆみやべとつき、浸出液で下着が汚れるなどの症状が見られます。原因は、頻回の肛門洗浄、アレルギー性疾患、真菌症(カンジダなど)、肛門疾患(痔核、裂肛、ポリープ、肛門皮垂)などです。

肛門周囲皮膚炎の治療
多くの場合は、日常生活の改善と内服薬や軟膏処置で治療が可能です。 原因が真菌症の場合は、軟膏処置により症状が悪化することがありますので、必ず真菌検査を行います(真菌検査は4~5日で判定がつきます)。肛門疾患の治療は、軟膏や坐薬などの薬物療法と肛門マッサ-ジ、排便や生活習慣の指導が中心になります。それでも治らない方にのみ、手術を行います。