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消化器内科
2023.12.30
健診で肝臓にしこりを指摘、血管腫疑いってなに?

最近は、人間ドックで腹部超音波検査を受ける方も多くなっていますね。脂肪肝や肝のう胞、石灰化など、経過観察程度の判定であればそれほど驚かないと思うのですが、肝臓に腫瘤、血管腫疑い、要精密検査となっていれば、心配になりますね。実際、そのような心配をされ、受診される方が増えているように思います。

そこで、肝血管腫とはどのようなものか、要精密検査の意味について説明したいと思います。

肝血管腫とは、肝臓内の細い血管が異常に増殖し、無数に絡み合ってできた腫瘍状の塊です。良性腫瘍であり、頻度としては、一般成人の約1~5%ぐらいに認められ、やや女性の方に多いとされています。発症要因に女性ホルモンとの関連が指摘されていますが、まだ明確には分かっていません。

通常は4cm以下で、左右の肝臓に多発することもありますが、自覚症状はほとんどなく、基本的に治療を必要とするものではありません。

血管腫内部は細かい隔壁で満たされており、超音波検査では、超音波の反響により、典型的には白色の腫瘤として描出されます。大抵の場合、超音波検査で血管腫を強く疑うことはできるのですが、時には血管腫と類似した肝臓癌との鑑別を要することがあり、要精密検査の意味としては、念のため別の検査でも確認してくださいということです。

精密検査では、通常、造影CT検査が行われ、腫瘍の造影パターン(血管腫ではゆっくり造影剤が流入し、血管内に造影剤が比較的長く停留します)により、他病変と鑑別が可能となります。

診断後、経過中に肝臓癌に移行することはまずありませんが、徐々に大きくなることはあるため、少なくとも年1回ぐらい健診もしくは外来で経過観察してもらうようにしてください。

まれに10cmを超えるような腫瘍では、破裂や血液凝固異常を生じて出血傾向をきたすことがあるため、外科的切除の適応となることもあります。

以上のように、健診で血管腫疑いと診断された場合、過剰に心配する必要はありません。ただし、初めて指摘された場合には、まずは一度受診するようにしてください。

 

 

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