大腸内視鏡検査Colonoscopy

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査についてColonoscopy

大腸内視鏡検査について
大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を入れて大腸内を 直接観察する検査です。
おしりから大腸の最深部(盲腸)まで内視鏡を進め、抜きながら大腸の表面粘膜を観察します。この内視鏡の先端には、小型の高感度電子カメラが取り付けられており、さまざまな大腸の病気の発見に役立ちます。 大腸カメラはポリープが見つかった場合は、同時にポリープ切除も行っています。
大腸ポリープの他、大腸癌や潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性疾患を調べます。

大腸内視鏡検査を受けるタイミング

2020年のがん統計では、日本人の大腸がんの罹患者数は部位別でもっとも多く、死亡率においては、男性では第3位、女ででは第1位という結果になっています。さらに大腸がんの死亡率は右肩上がりに増えており、今後非常に注意すべきがんといえます。

大腸がんの発症リスクは統計的に40歳から上昇しはじめます。進行して腫瘍が大きくなると、腹痛、血便、下痢、便の性状の変化などをきたしますが、早期の場合には自覚症状がほとんどありません。
大腸がんは早期に発見することで、高い確率で治すことができる病気です。しかし、症状が出たときには治癒が困難なケースもあり、できるだけ早期に発見、早期に治療することが重要です。

市町村の大腸がん検診では、無症状者を対象として便潜血検査が行われていますが、2019年の40歳から69歳までの方の受診率は男性47.8%、女性40.9%程度で、さらに陽性となった方の7割程度しか精密検査としての大腸内視鏡検査を受けていないというのが現状です。

大腸がんの死亡率を減らすためにも定期的な便潜血検査を受け、陽性となったら必ず大腸内視鏡検査をうけるようにしてください。前がん病変であるポリープを切除することで、将来的な大腸がん予防にもつながるのです。

最近の大腸内視鏡検査は、前処置の下剤の選択、検査技術の向上、内視鏡機器の改良、麻酔の使用、CO2による送気など様々な工夫がなされ、検査をよりうけやすい環境となっていますのでご安心ください。
以下に当てはまる方は、大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。
  • 排便時に出血がある方
  • 便に血が混ざっている方
  • 便秘、下痢、便が細いなどの便通異常のある方
  • 急激な体重減少がある方
  • 貧血を指摘された方
  • 過去に大腸ポリープを指摘されたことがある方
  • 血縁者(3親等以内)に大腸がんがいる方
  • 40歳以上の方で大腸内視鏡検査を受けたことがない方
  • 検診で便潜血反応が陽性となった方

便潜血検査について

便潜血検査
便に肉眼的には認識できないごく少量の血液が含まれているかどうかを判断する検査です。
便をスティックで採取する検査で、比較的安価で、簡便であることより大腸がんのスクリーニング検査として市町村のがん検診や健診などで広く普及しています。
大腸がんは、進行するにつれ、がんの表面を通過する便で擦れ、崩れることで出血しやすくなるため、潜血を調べることで、なるべく早期の異常を拾い上げることを目的としています。
便検査
検査の有用性
40歳以上の方が、毎年大腸がん検診を受けることで大腸がんによる死亡率を60-80%減らすことができるという報告もあり、死亡率減少に寄与することが証明されています。
便潜血検査の陽性率
便潜血陽性になる確率はいろいろ報告がありますが、2-10%とされ、そのうち精密検査で大腸内視鏡検査を行うと50%の方にポリープ、6%の方に早期がん、4%の方に進行がんがみつかります。つまり便潜血陽性で検査をすると6割の方に治療すべき病変がみつかるのです。
一方、大腸ポリープの50%、早期大腸がんの30%、進行大腸がんでも約10%程度は便潜血陰性になるといわれており、陰性であれば大丈夫ということではなく、便通異常などの自覚症状がある場合には、大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

炭酸ガス送気装置の導入Pneumocolon

大腸内視鏡検査について
これまで大腸内視鏡検査は、空気を送気して行われていましたが、最近では空気の代わりにCO2を使用する施設が多くなっています
CO2は、空気に比べて体内への吸収が100倍以上もあり、吸収後速やかに肺から排出されます。
そのため検査中における大腸の過度の拡張が短縮され、検査後の腹部膨満も速やかに消失していきます。以前に比べてさらに楽に検査が受けられるようになっており、ほとんどの方が、帰宅される頃には食事も普通に摂れるようになっています。CO2はもともと体内で作られ肺から外へ放出されるものですのでご安心ください。

当院の大腸内視鏡検査の特徴Feature

  • 消化器内科
    内視鏡専門医による
    詳細な観察、正確な診断
    日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を持つ医師が検査を行っています。
    短時間に精度の高い検査を行い、苦痛を最小限にして、微細な病変も診断していきます。
  • 細径スコープによる苦痛を抑えた経口内視鏡
    鎮痛剤、鎮静剤を用いた
    苦痛の少ない検査体制
    鎮静剤・鎮痛剤を使用して、検査の際の苦痛を少なくしています。
    うとうとした状態で挿入していき、観察時には目が覚めているので、モニターを見ながら医師から説明を受けることができます。
  • 最新の内視鏡システム導入
    最新の内視鏡システム
    導入
    総合病院と同等のオリンパス社製最上位機種システム本体(EVIS LUCERA ELITE)を導入しています。
    通常光での観察と特殊光観察機能(NBI)というスペクトル幅の狭い特殊な光を使う観察により、がん特有の微細な血管増生や走行異常などの変化を捉え、早期病変を発見しやすくしています。

  • 徹底した消毒による感染予防
    徹底した洗浄・消毒による
    感染予防
    日本内視鏡学会のガイドラインに沿って検査毎に内視鏡機器の洗浄・消毒をしっかり行っています。
    また、その他の治療器具はすべてディスポーザブル(使い捨て)を使用しています。

大腸内視鏡検査でわかる疾患Disease

  • 大腸がん(早期、進行)
  • 大腸ポリープ(
    過形成、腺腫、若年性など)
  • 潰瘍性大腸炎
  • 炎症性疾患(
    潰瘍性大腸炎、クローン病)
  • 大腸憩室症
  • 虚血性腸炎
  • 直腸カルチノイド
  • 直腸潰瘍
  • 大腸脂肪腫
  • 大腸メラノーシス

大腸内視鏡検査を受ける方へGuide

当院では苦痛を抑えた内視鏡検査を心がけています。
挿入法としては、送気を極力少なくした軸保持短縮法により、挿入時の痛みが最小限に抑えられるようにしています。
不安が強い方には、リラックスして検査を受けていただくため、希望に応じて鎮静剤を使用するようにしています。

診察時にお持ちいただくもの

お薬手帳
健康保険証
お薬手帳
おくすり手帳
(服用中のお薬がある方のみ)
人間ドックや健診で引っかかった方はその検査結果一式
検査結果一式
(人間ドック・健診等で引っかかった方のみ)

大腸内視鏡検査前の食事のポイントについてPoint

3日前から飲酒や脂っこい物は控えましょう
毎日便が出ていても、実は大腸の中に壁に便がこびりついており、完全にきれいになっているわけではありません。
大腸内視鏡検査では、大腸の中に便や未消化物が残っていると、大腸がんや大腸ポリープなどの病変を見逃してしまう可能性があるため、精度の高い検査を行うには、検査当日に大腸がきれいになっていることが必要です。

そのため、検査の3日前から消化に影響しやすい脂肪分やアルコールは控えるようにしてください。
便秘気味の方は、食物繊維の多い野菜やキノコ類、海藻類がなかなか便として出てくれませんので、やはり3日前から控えるようにしてください。
検査前日は20時までに食事をすませるようしてください。
腸内残渣をなるべく残さないようにするため、前日の20時以降は食事を食べないようにしてください。
また、腸の中を早くきれいにするためには、前日の朝、昼、夕食に消化に良いものを食べるのがポイントです。
消化の良いものとは、胃内での停滞時間が短いもので、逆に消化に時間がかかるものは、その分長く胃や腸の中でとどまることになってしまいます。
検査前日の食事のポイントは、以下の5つです。
  1. 脂質は消化されにくいので食べない
    脂質は胃内での停滞時間が長く、消化に時間がかかります。脂肪分の多い部位の肉や揚げ物は避けましょう
  2. 脂肪分の少ない白身魚や赤身肉はおすすめ
    魚や肉などのタンパク質は胃の中で消化されやすいため、脂身の少ない部位を選んでもらえば、しっかり食べてもかまいません。
  3. 白米やパン、うどんなどの炭水化物は食べてもいいが、夕食は避ける
    米、小麦、麺類などの炭水化物は、胃の中では消化する酵素が出ないため、意外と消化に時間がかかるので、食べてもいいですが、できるだけ朝食、昼食にしましょう。
  4. 食物繊維は消化されないため食べない
    食物繊維は、腸内環境を整える作用もあり、普段は積極的にとった方がよいのですが、消化に時間がかかったり、全く消化されなかったりするので、腸内に残りやすいのです。
    食物繊維を多く含む野菜類、キノコ類、こんにゃく、海藻類、果物類の種、ごま、ナッツ類などは絶対に避けましょう。
  5. 食べ過ぎず、よく噛んで食べる
    消化に良いのも、食物繊維や脂質が少ないものでも、量がいつもより多いと、その分消化に時間がかかってしまうので注意しましょう。
    また食事が細かくきざまれるほど消化はされやすくなるので、ゆっくりとよく噛んで食べるようにしてください。
検査前に食べてよいもの、悪いもの
※スマートフォン閲覧時は、横スクロールで閲覧をお願いいたします
食べてよいもの 食べてはいけないもの
麺類 うどん、そうめん、ビーフン、フォーなどの米湖麺 そば、ラーメン、パスタ類
ご飯類 白米、おかゆ、もち 玄米、雑穀米、胚芽米
パン類 食パン、ロールパン、フランスパン卵サンドなど(バターやマーガリン、ジャムはつけない) 全粒粉入りパン、ライ麦パン、あんパンジャムパン、揚げパン、クロワッサン
魚介類 脂肪の少ない白身魚(タイ、タラ、カレイなど)魚のすり身(はんぺん、ちくわ、かまぼこなど) 脂肪の多い青魚(サバ、アジ、サンマ、イワシ、ブリ、ウナギなど)マグロのトロ、干物、貝類、タコ、イカ、エビ、カニなど、魚卵
肉類 鶏ささみ、鶏むね、鶏もも、豚ヒレ肉、豚もも肉、牛ヒレ肉、牛もも肉などの脂肪の少ない赤身肉 鶏手羽肉、鶏皮、豚バラ牛バラ、ロース、サーロイン肉、ホルモン、ベーコン、ソーセージ
野菜・果物・いも類 じゃがいも、長芋、バナナ、リンゴ(皮を除く) 食物繊維の多い野菜、ネギなどの薬味類、キノコ全般種のある果物類
その他 味噌汁、卵、豆腐、高野豆腐、湯葉、豆乳 漬物、乾物、納豆などの豆類、海藻類、ジャム、胡麻、ナッツ類、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、コーンフレーク、ポテトチップス、ケーキ
検査食キット
当院では検査前の食事内容に気を遣わなく済むように、3食1セットになっている検査食キットをお勧めしています。
調理方法も電子レンジなどで温めたり、熱湯を注ぐだけと非常に簡単です。
キューピーのサンケンクリンMO(3食分1400円)
当日の朝からは水分のみとしましょう
検査当日の朝からはお水やお茶などの水分のみとしてください。
牛乳やジュース、コーヒーなどの飲み物は、検査に影響を及ぼす可能性があるので避けましょう。
前日、当日とも十分な水分をとることは大切です。
大腸内視鏡検査で使う当日の下剤は体内に吸収されずにすべて排出されますので、水分をとっているつもりで脱水を助長してしまう方がいます。脱水を避けるために前日から当日にかけてしっかり水分をとりましょう。

服薬、サプリメントの注意点について

  • 検査前日の夜までは、普段と同じようにお薬を飲んでいただいて問題ありません。
  • 前日21時に同封の下剤プルゼニド2錠とラキソベロンを飲んでいただきます。
  • 血液をサラサラにする抗血小板薬(バイアスピリン、プラビックスなど)や抗凝固薬(イグザレルト、エリキュース、ワーファリンなど)を内服されている方は、必ず検査説明時にお申し出ください。
  • 糖尿病薬・インスリンは、低血糖を起こす恐れがありますので、検査当日は内服・注射できません。
  • 血圧、心臓、喘息、てんかん、アレルギーの薬、精神安定剤は、起床後すぐに内服してください。
  • サプリメントはどうしても飲まなければならないお薬ではないので、検査当日は飲まずに来院してください。

大腸内視鏡検査前の下剤についてAbout

大腸内視鏡検査では、大腸内を隅々まで見えやすくするため、下剤を飲んで腸内環境をきれいにしていただく必要があります。
当院では2種類の下剤を用意していますが、それぞれに特徴があり、患者様の年齢や体型、ライフスタイルなどをもとに提案させていただきます。

サルプレップ

薬液はレモン風味で飲みやすく、薬剤を溶かす手間が不要で、服用量が少なくて済みます。
そのままペットボトル2本をお渡しします。
薬剤に加え、概ね倍の水分を摂取することにより腸の中をきれいにすることができます。
マグネシウムを含むため、腎機能の良くない方は注意が必要です。
<サルプレップの飲み方>
サルプレップをコップ1杯120ml服用後、コップ2杯程度の水分を飲むという流れを1つのサイクルとして、
便がきれいになるまで繰り返します。

ニフレック

味はレモン風味で、作り方、飲み方が簡単になっています。
飲む量が2lと多い分、腸の中がきれいになりやすく、正確な検査が期待できます。
また、体内に吸収されないので、体内の電解質バランスに及ぼす影響が少なく、腎機能低下がある方でも服用できます。
<二フレックの飲み方>
バックに水を入れて、2l準備します。
朝8時ごろより1杯250mlを15分かけて、計8杯飲むというペースで服用します。
多くの場合、最初の1lを飲んだところで最初の排便があります。
服用中は、体を軽く動かすことで排便が起こりやすくなります。

ピコプレップ

下剤そのものの内服量が少なく、味もオレンジジュースに近いため、飲みやすくなっています。
洗浄効果が弱いため、他の下剤と異なり、検査前日と当日と2回内服していただく必要があります。
<ピコプレップの飲み方>
  • ・ 水に溶かした150mlを前日と当日の2回飲みます。
  • ・ 前日はお薬の後、透明な飲み物1250ml以上を2-3時間ほどで飲みます。
  • ・ 当日はお薬の後、透明な飲み物750ml以上を1-2時間ほどで飲みます。

検査の流れ

  •  査前(診察~)

    査前(診察~)

    まずは診察にお越しください。
    現在の症状やこれまでの病歴などを伺います(人間ドックや健診で引っかかった方は、検査結果一式をお持ちください)。
    続いて、必要に応じて腹部の触診などの診察を行います。
    検査が決まったら、患者様のご都合を聞きながら検査日程を決定し、ご予約をお取りし、検査についての詳しい説明を行います。また、内視鏡検査に必要な血液検査を行います。
  • 検査前日

    診察時にくわしくご説明した食事内容や注意事項を守っていただき、夜、下剤を飲んでいただきます。
  • STEP
    01
    前処置
    前処置
    朝から自宅にて約2時間かけて下剤を服用していただきます。腸内の洗浄が完了したら昼ごろに来院していただきます。
    検査までに看護師が状態を確認し、ソファでゆっくりお待ちいただきます。
  • STEP
    02
    検査
    検査
    腸の洗浄が完了したら検査にお入りいただきます。全身状態を確認した後、医師が鎮静剤を注射し(当院は、大腸内視鏡検査では、ご希望の方に鎮静剤を使用します)、半分眠ったような状態で検査を行います。
    内視鏡を挿入し、大腸全体を観察します。ポリープが見つかった場合は、同時に切除することも可能です(ポリープがあった場合の処置については、検査予約時の診察の際にご説明、ご相談いたします)。
    検査時間は、通常15分程度で終わりますが、腸の長さや形状によって個人差が出て来ます。
    また、ポリープ切除をした場合は、さらに時間を要することがあります。
  • STEP
    03
    検査終了後
    検査終了後
    検査終了後は鎮静剤の影響が落ち着くまで、リクライニングシートに寝たままお休みいただきます。40~60分程度お休みいただき、全身状態を確認した後、着替えていただきます。
  • STEP
    04
    検査結果の説明
    検査結果の説明
    検査結果の説明検査の結果について、モニターを見ながら医師からご説明いたします。
    ポリープ切除を行った場合や組織の一部を採取した場合などは、検査後の日常生活にも注意事項がありますので、併せてご説明いたします。また、注意事項についての説明用紙もお渡しします。なお、採取したポリープや組織の検査結果は、1-2週間後に出ますので、その結果の説明は後日になります。

    ※鎮静剤使用の方は、ご帰宅後も乗り物の運転等は出来ませんので、お気をつけください。

検査を受ける際のコツ

大腸内視鏡検査をできるだけ苦痛が少なくなるように受けて いただくためのコツを3つ紹介します。
  • お腹の力をできるだけ抜いてリラックスします。
  • お腹が張ってきたときはオナラを我慢せずに出しましょう。
  • 体勢の変更や息を止めるなどの指示があった場合に指示に従うようにします。

検査実績

  • 平成26年10月~平成27年3月
    83件
  • 平成27年4月~平成28年3月
    370件
  • 平成28年4月~平成29年3月
    404件
  • 平成29年4月~平成30年3月
    393件
  • 平成30年4月~平成31年3月
    407件
  • 平成31年4月~令和2年3月
    426件
  • 令和2年4月~令和3年3月
    420件
  • 令和3年4月~令和4年3月
    438件
  • 令和4年4月~令和5年3月
    453件

検査費用

項目 検査 費用
大腸内視鏡検査
大腸カメラ検査のみ
6,000~8,000円
組織検査あり
10,000~12,000円
ポリープ切除あり
20,000~30,000円

患者様の声Voice