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消化器内科
2026.04.12
鳥の生食は避けましょう

腹痛、下痢、嘔吐といった胃腸炎の症状で来院され、お話を聞くと数日前に居酒屋などで「鳥刺し」「鶏のたたき」「鶏レバー刺し」などを食べたと言われる方が結構多く来院されます。

その原因として多いのが、カンピロバクターという細菌による食中毒です。

食中毒というと、腐りやすい夏に多いというイメージをもっている方が多いかもしれませんが、実際には年間を通して発生しており、通年注意が必要です。

食中毒は正しい知識を持っておけば予防できるものでもあり、今回は頻度の高いカンピロバクターについてお話ししたいと思います。


カンピロバクターとは


カンピロバクターは、鶏、牛、豚などの腸管内にいることがある細菌です。特に鶏肉は問題になりやすく、鶏肉や鶏レバーなどの内臓を生、または加熱不十分な状態で食べることで感染することがあります。

食中毒全体の20%、細菌性の中では40%を占めるとの報告もあり、最も頻度が高い原因菌です。

現在の食鳥処理(食用に処理すること)技術でも、処理後のカンピロバクター汚染率は67.4%(厚生労働科学研究報告「食品製造の高度衛生管理に関する研究」)もあり、比較的少ない菌量でも発症しやすいので、鳥生食の危険性は高いのです


「新鮮だから安全」というわけではありません


「新鮮な鶏肉だから大丈夫」「表面をあぶってあるから安全」「お店で出しているから問題ないはず」と思われる方もいますが、実際にはそうとは言えません。

カンピロバクターは、処理後に肉の表面や内臓に付着している可能性が高く、鮮度がいいから安全という話ではないのです。


症状


食べてすぐではなく、17日程度たってから症状が出ることがあります。比較的潜伏期間が長いため、患者さん自身は数日前に食べた鳥料理が原因だと気づいていないこともあります。

主な症状は次のようなものです。

・ 38℃前後の発熱

・ 激しい腹痛

・ 下痢

・ 吐き気や嘔吐

・ 強い倦怠感や頭痛

・ 時に血便



多くは数日で改善しますが、症状が強い場合は脱水を起こしたり、血便を伴ったりすることがあります。

また、注意すべきは、感染後にギラン・バレー症候群を起こすことがある点です。

ギラン・バレー症候群は、感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺などを起こす神経の病気です。多くは時間の経過とともに回復に向かいますが、重症化すると歩行障害や呼吸障害を起こすこともあります。

軽い食あたりで終わったようにみえても、まれにこうした重大な合併症につながることがあることは覚えておいてください。


予防


カンピロバクターは熱に弱いため、予防の基本は十分な加熱です。

厚生労働省は、食肉を中心部75℃以上で1分間以上加熱することが重要としています。

外食では、鶏肉料理を注文するときに、「中までしっかり火が通っているか」「半生ではないか」「生の鶏肉を使ったメニューではないか」を意識することが大切です。

また、家庭で鶏肉を調理するときは、加熱だけでなく、二次汚染にも注意が必要です。

生の鶏肉を切った包丁やまな板で、サラダや加熱しない食品を切ると、菌が移ってしまうことがあります。


・ 生肉を触ったあとは石鹸でよく手を洗いましょう

・ 生肉を扱った調理器具はよく洗い、熱湯消毒、乾燥をしっかり行いましょう

・ 焼き肉やバーベキューでは、生肉用の箸と食べる箸を分けるようにしましょう


最後に


「鳥刺し」や「鶏のたたき」は、居酒屋などでもわりとよく見かけるメニューですが、カンピロバクター食中毒に注意しなくてはいけません。

「新鮮だから安全」「お店で出しているから安全」とは限らないという意識はもっておきましょう。

食中毒は、正しい知識をもって食べ方を注意すれば、予防することができます。

鶏肉料理を安全に楽しむためにも、十分に加熱されたものを選ぶことをお勧めします。


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