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外科
2024.10.26
その腫れ、痛み、蜂窩織炎かもしれません

当院には、傷の出血や腫れ、膿が出るなど、何らかの処置を必要とする方が多くいらっしゃいます。中には、けがを放置して、発熱まで引き起こす蜂窩織炎という状態にまでなって来院されるケースもあります。

今回は、誰にでも起こりうるこの蜂窩織炎についてお話しようと思います。

 

蜂窩織炎とは

蜂窩織炎とは、原因菌により皮下の真皮深層から皮下組織・筋膜という深い部分で引き起こされる急性化膿性炎症です。

身体のどの部分にも発生しますが、特に足でみられることが多いです。

症状としては、患部の皮膚にまだら状の赤み、腫れ、熱感が出現し、急速に広がります。感染による全身症状として、発熱や悪寒、倦怠感などを伴うこともあります。

蜂窩織炎を放置して重症化すると、全身管理を必要とするような敗血症へと進行することがあるので、早期にきちんとした対応を行うことが大切です。

細菌感染といっても人から人にうつる病気ではないので、他人と接近することで感染するといった心配はありません。

 

蜂窩織炎の原因

通常、皮膚には細菌や異物が簡単に入り込まないようにバリア機構が働いているのですが、ひっかき傷、やけど、手術痕、水虫などの小さな傷があると、体内に侵入した細菌が皮下組織にまで到達し炎症を引き起こすことがあります。

犬や猫などの動物に咬まれても、蜂窩織炎となることがあるので注意が必要です。

免疫不全のある方、糖尿病、皮膚の弱い方、リンパの流れが悪くなっている方は発症しやすい傾向があります。

時には、皮膚表面に明らかな傷がなくても原因菌が毛穴から侵入して発症することがあるので、傷がないからといって必ずしも安心はできません。

原因菌としては、黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌が多いのですが、インフルエンザ菌、大腸菌、嫌気性菌などでもみられます。

 

蜂窩織炎の治療

蜂窩織炎を起こしてしまうと、自然にはなかなか治りません。

先述したように、主な原因菌は黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌であるため、これらの菌に有効な抗菌薬を約12週間程度投与します。

症状が軽い場合は飲み薬で治療できますが、炎症が急速に広がっていたり、高熱が出ていたりする場合は、点滴が行われます。血管内に直接抗菌薬を投与することで素早く効果を発揮することが期待されるためです。

また、患部の管理として、濡れた冷たいタオルなどでしっかり冷却し、患部を高い位置固定(足の場合は下肢挙上)することで腫れの引きが早くなります。

患部を動かすと炎症が悪化することがあるので、なるべく安静にすること大切です。

 

まとめ

蜂窩織炎は小さな傷や時には傷がなくても発症することがあり、誰にでも起こりうる病気です

放置すると重症化して敗血症を引き起こすことがあるため、発症を疑う場合には、適切な処置と治療を早急に行う必要があります。

何らかの原因で傷を負った場合には、傷を清潔な状態に保つように心がけ、菌を皮膚の深部まで侵入させないようにしなくてはいけません。また、免疫力の低下によっても発症しやすくなるため、日頃から十分な睡眠と栄養、適度な運動をおこなうことで免疫力を高めておくことも大切です。

 

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