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肛門外科
2023.08.20
当院における痔の治療について

痔核の治療は日帰り治療が主流になってきています。


医療は日進月歩で進歩し、それと共に治療法は変化していくものです。

腹部外科の領域でいえば以前は大きくお腹を切る開腹手術が当たり前でしたが、今では胃癌や大腸癌の手術までも小さな穴を数カ所開け、細い鉗子の操作のみでリンパ節郭清を含めた臓器の切除、吻合を行うことが可能となっています。

同じ根治性であれば、傷が小さく、早く回復できる方がいいに決まっていますね。

痔の治療も、大きく切除する時代から傷を小さく、回復を早くというのが流れです。
大きく切除すれば、麻酔や術後出血の心配から入院が必要になります。
家庭をもつ女性や働き盛りの男性が1週間近くも入院するのはなかなか難しいことですね。

しかし、大きく切らなくても治療効果が十分得られるのであれば、入院は必要ないわけで、ALTA療法の登場により痔の治療は日帰りが中心になったといえます。
ALTA療法というのは注射を用いた硬化療法のことで、適切な場所に適切な量を肛門の奥の内痔核に打ち込み、切除と同等の治療効果が得られます。

後出血などの心配はなく、治療後はすぐにもとの生活を送ることができます。
ただし、ALTA療法は明らかに肛門外に飛び出した外痔成分を有する痔核を治療するのには不向きで、万能な治療ではありません。

まず痔核のタイプをきちんと見極め、脱出する外痔核の部分は切除し、奥の内痔核にはALTA療法を組み合わせ、ほぼあらゆるタイプの痔核に対応していきます。痔のような良性疾患であるからこそ、患者さんの満足度が治療の価値であると考えます。

切るべき部分は切除する、切らなくても治療できる部分はできるだけ侵襲を小さくする。それが当院の考える痔核に対する治療法です。

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