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消化器内科
2024.08.12
健診で胆嚢ポリープを指摘、どうしたらいい?

健康診断の腹部エコー検査で、胆嚢ポリープを指摘されることはめずらしくないのですが、ポリープと書かれていると、腫瘍をイメージして、どうすればいいのか心配になりますね。

 

今回は、過剰な心配を避けるためにも、胆嚢ポリープについて整理して説明したいと思います。

 

胆嚢とは

胆嚢というのは、肝臓で作られた胆汁を貯めておく袋状の臓器です。胆汁には、主に脂肪の消化・吸収を助ける作用があり、1日に500700mlぐらい産生され、いったん胆嚢で蓄えられて濃縮されます。脂肪を含む食事が、十二指腸に入ってくると、胆嚢が収縮して、胆汁を十二指腸に排出するようになっています。

 

胆嚢ポリープとは、胆嚢の内側にできたできもののように隆起した病変の総称であり、必ずしも腫瘍性病変のことを指している訳ではありません

 

では、胆嚢ポリープにはどのようなものがあるのでしょう。

胆嚢ポリープの種類

・コレステロールポリープ

胆嚢ポリープの90がコレステロールポリープです。胆汁成分の1つであるコレステロールが固まってできた良性ポリープであり、多くは数mm以内で、胆嚢内に多発しています。10mmを超えることはまれです。

・腺腫性ポリープ

基本的に良性ですが、一部に癌化するものがあるといわれています。10mm程度の大きさで単発であることが多いです。

・過形成性ポリープ

粘膜表面の細胞が過剰に増殖してできたポリープです。良性であり、5mm以下であることが多いです。

・炎症性ポリープ

慢性の炎症により粘膜細胞が増殖してできた良性ポリープです。多くは5mm以下の有茎性ポリープですが、10mm以上のものもあり、画像上胆嚢がんとの鑑別が難しいこともあります。

・胆嚢がん

胆嚢粘膜にできる悪性腫瘍です。なだらかな隆起のポリープや増大傾向を示すポリープは胆嚢がんの可能性が高くなります。ポリープの段階で見つかる胆嚢がんは比較的早期であることが多く、手術により根治を行うことが可能です。しかし、いったん胆嚢の壁を越えて、隣接する肝臓や胆管、十二指腸、大腸などの臓器に浸潤すると、複数の臓器の合併切除が必要となり、手術をしても再発のリスクが高くなります。

 

症状と検査

胆嚢ポリープ自体で症状がでることは、ほとんどありません。健康診断や胆石、胆嚢炎などの他疾患精査の際に偶然に腹部エコーで指摘されること多いです。

まずは、通常の腹部エコー検査でポリープの大きさ、個数、形状を観察します。

胆嚢がんの可能性を念頭に、精査が必要と判断した場合には、造影CT検査やMRI検査を行います。しかし、小さなポリープに関しては、これらの検査では評価が難しいことがあります。

最近では超音波内視鏡検査の役割が大きくなっています。一般的な内視鏡検査ではないため、病院での精査となりますが、口から内視鏡を挿入して、内視鏡の先端についている超音波装置により、ポリープの形状や大きさ、血流などを詳細に評価していきます。

 

治療

胆嚢ポリープに対して、直接的に組織的診断をすることは困難なため、まずは主に大きさで治療方針を決めていきます。

基本的に5mm以下の胆嚢ポリープは、1年ごとの経過観察となります。

5-10mmのポリープを初めて指摘された場合は、短期的に形状が変化したり、サイズが増大してくることがあるため、まずは半年後にエコー検査を行います。変化がないようであれば、その後は1年ごとにエコー検査でフォローしていきます。

大きさが10mm以上、基部が幅広(なだらかな隆起)の形状、明らかに増大傾向示すポリープは、胆嚢がんを否定できないため、診断的な意味も含めて胆嚢摘出を勧めることとなります。


胆嚢ポリープの多くは、良性であり、過剰に心配する必要はありません。しかし、一部に胆嚢がんが隠れていることがあるため、初めて指摘された場合には、一定期間は経過観察していくことが大切です。

 

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