コラムColumn
まだまだ暑い日が続きそうで、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりで胃腸の調子も悪くする方が多いのではないでしょうか。また、この時期、当院には下痢、嘔気、嘔吐といった胃腸炎症状で受診される方が多くいらっしゃいます。
大抵の胃腸炎は、食事に気をつけて、胃腸を安静にしていくことで、自己治癒力によりピークを過ぎて改善していきます。
患者さんには、胃腸にやさしいものを摂ってゆっくりしてくださいねとお話しますが、中には摂取するものが悪く、むしろ治癒を遅らせてしまっている方もいらっしゃいます。
今回は、胃腸にやさしいものとはどんなものなのかについて具体的にお話したいと思います。
胃腸にやさしいとは
胃腸にやさしいというのは、消化に負担をかけないということであり、食べ物の選び方に以下のようなポイントがあります。
・口当たりがいいもの
・食物繊維の割合が低いもの
・脂肪分の少ないもの
・調理されており、やわらかいもの
さらに消化をよくするために調理のポイントとしては、
・具材を細かく刻む
・具材を煮たり、蒸したりして加熱し、やわらかくする
・うす味にして、油や香辛料は控える
といったことが挙げられます。
ただし、嘔気があって食欲もないのに無理して摂取する必要はありません。尿量がきちんと保たれるぐらいの水分補給は心がけ、少しお腹が空いてきたなと思ったところで、少量ずつ食べていってもらえばいいと思います。
では、具体的にどんなものを食べたらいいのか、避けた方いいものは何かを紹介していきましょう。
胃腸にやさしい食べ物とは
・卵(半熟や卵とじなど、加熱してやわらかな状態のもの)
・スープ(コンソメスープやミネストローネなど)
・豆腐
・うどんやおかゆ、おじや
・赤身の肉、ささみ、白身魚(脂質の少ない部分)
・繊維質の少ない野菜(加熱処理したじゃがいも、にんじん、ほうれん草など)
・繊維質の少ない果物(すりおろしリンゴ、バナナなど)
といったものが挙げられ、食物繊維や脂質の少ないもの、胃腸に刺激が少ないものが基本です。
避けた方がいい食べ物とは
・そば(繊維質が多い)
・ラーメン、パスタなど(脂質が多い)
・揚げ物
・漬物
・酸味の強いもの(酢の物や柑橘類など)
・繊維質の多い野菜(ごぼう、レンコン、キノコ類、海藻類など)
・アルコール、炭酸飲料(胃腸への刺激になる)
・コーヒー、紅茶などのカフェイン飲料(胃酸の分泌を促す)
などが挙げられます。
まとめ
胃腸にやさしい食べ物といったら、調理されたやわらかいもの、繊維質の少ないもの、脂質の少ないものが基本です。
胃腸炎では、消化に負担をかけずにエネルギーを摂取することが重要で、胃腸を安静にしていくことで、腸内環境が整い、免疫力が回復してきます。
それでも症状の改善がみられない場合には、抗生剤を投与したり、別の疾患を考慮する必要があるかもしれないので、医療機関を受診するようにしてください。